最近、新しい仕事を探しているのは、あなただけではありません。独立行政法人労働政策研究・研修機構の「新型コロナが雇用・就業・失業に与える影響」によると、日本では2020年前半にコロナウイルスのパンデミックが起きてから勤め先や事業の都合、もしくは雇用契約満了で失業した人が大幅に増え、その多くが新た求職していることがわかりました。かつて就活生は、履歴書のわかりやすさや面接官への印象などを気にする必要がありました。しかしながら現在の就職活動レースでは「オンライン上での求人詐欺」という新たな壁が立ちはだかっています。
ここでは、3つのインターネットを利用した求人詐欺の事例について触れ、それを防ぐためのヒントを紹介します。
1. 偽の求人広告
偽の求人広告は求職者を騙して金融などの情報を提供させようとしてきます。偽の求人広告は無料サイトに掲載されていることが多いですが、様々なところに載っている可能性があるので注意が必要です。したがって、もしそういった怪しい求人を見つけた、もしくは応募してしまった場合は警戒してください。そして、彼らはあなたのような人材を求めているわけではなく、機密性の高い個人情報を探しているということを把握しておきましょう。
通常、面接を受ける際、雇用主はあなたがその仕事に適しているかどうかを慎重に判断します。そのため、大抵の場合の雇用主は求職者が本気かどうかを確認するために直接会うか、ビデオチャットを通して顔を合わせて会話をする会社がほとんどです。もし、たった数回のメールのやり取りのみ、もしくは簡単なメッセンジャーでの面接の後に雇用主が内定を出してきたとしたら、まともな会社かどうかを確認するという意味でよりしっかりした面接の実施を申し出ましょう。どんな会社かも知らず、雇用条件が曖昧なまま、すぐに働いてしまうとトラブルに巻き込まれてしまう可能性があります。
また、求人がちゃんとしたものかどうかを100%確認できるまで、個人情報や金融情報を提供することは控えましょう。例えば、「人事担当者」と名乗るような人物が研修費用の支払いなどと理由をつけて、クレジットカードや銀行情報を聞いてきた時は厳重に警戒しましょう。また、そういった偽の雇用主は内定通知書を出す前にマイナンバーカード等の重要な個人情報の提出を求めてくることがあり、その場合は電話やEメールでは決して教えてはいけません。
2. フィッシングメール
フィッシング対策協議会のフィッシングレポート2021によると、2020年1月から12月の間の日本国内のフィッシング報告件数は224676件と、2019年と比較して約4倍に増えました。フィッシングメールにはクリックするとマルウェアがデバイスにダウンロードされるような悪質なリンクが含まれていることが多いです。オンライン求人詐欺は、個人の機密情報を盗もうとするだけでなく、個人のデバイスを乗っ取ろうとするフィッシングの可能性もあります。
求人情報を装った詐欺師の中には、応募した覚えのない人にメールを送る方法もあります。日本では大手求人サイトを装ったフィッシングメールが数多くみられ、これらはコロナ禍で失業し、求人情報を探している方や転職を考えてる人などをターゲットにし、個人情報や金融情報を盗み取ろうとしてきます。求人サイトに登録した覚えがない方はメール自体を開かないようにし、メールに記載されているURLは絶対にクリックしないようにしましょう。
また、そういった受信したメールが本物かどうかを見分ける方法としては、メールアドレス内のドメイン名の確認があります。まるで自分たちが本物の実在する大手企業であるかのように人を騙そうとしてきますが、大抵の場合は、メールアドレスが実際の特定の会社のものと違っています。さらに最近では、在宅で仕事をするのが一般的となっている状況を利用し、「自由に働ける在宅ワーク募集」などが謳い文句のフィッシングメールもあるようなので注意が必要です。
3. 虚偽の雇用内容や条件の記載
日本の求人で一番多いのが求人詐欺とよばれるものです。オンライン上の就職斡旋サイト内で募集していた求人に応募し、採用されて実際に働いてみると、募集要項に記載されていた仕事の内容や雇用条件が全く異なっていたなどということが頻繁に起こっています。特に報酬が同業種の他企業と比較しても明らかに高額だったり、あまりにも条件が良すぎる場合は注意が必要です。しっかりとした雇用主なのかどうか、雇用契約を結ぶ前にしっかりと調べたり、インターネットで評判等を確認するようにしましょう。とはいえ、採用企業側としても状況が変わり、当初予定していた仕事と違う事を採用者にお願いするなど全く騙すつもりはなかったというケースもあるのも事実です。これは日本が抱える難しい問題でもあります。
自分の弱点を補う方法
求人詐欺に引っかからないようにするには、転職を考える際に自分が本当に求めているものは何なのかを時間をかけて考えて知ることが一番です。ここでは詐欺師を打ち負かし、個人情報とデバイスを安全に守るためのヒントをご紹介します。
1. 雇用主を確認する
求人に対しての応募のほとんどはオンライン上で行われますが、雇用主が履歴を見て好感を持った場合は選考の電話をかけてくることが多いようです。人事担当者から電話がきたら、必ずその担当者の名前と所属部署等をメモし、会社のウェブサイトのアドレスを聞くようにしましょう。その後、その会社をインターネットで検索し、電話をかけてきた人事担当者や所属部署が本当に存在するかどうかを確認します。ただし、会社によっては部署名や社員名をウェブサイトに掲載していない企業もあります。
2. 注意深く読む
将来、雇用主になる可能性のある方から送られてくる文書はすべて確認しましょう。フィッシング詐欺師は、相手の心情に影響を与えようと時折、興奮や恐怖を含む強い感情を持った言葉で早く返事を求めてきたりします。もし、「数時間以内に返事がない場合、この仕事は他の人へ案内します」などというメールの通知は、通常の企業の採用ではほとんどないことなのでまず疑うようにしましょう。仕事を引き受けるということは人生の中でも大きな決断なので、少なくとも2、3日は考える時間が必要になります。
また、送られてきたメールは、注意深く読むことをお勧めします。リンクの上にカーソルを置くと誘導先が表示されるので、怪しいリンクかどうかを確認するようにしてください。そして、次のキャリアを決める際にはできるだけ自分が思い描く基準から大きく外れないように心がけましょう。
3. 詐欺行為の報告
もし、詐欺行為に遭ってしまった場合、他の人が被害に遭わないようにするためにしっかりとした行政機関に報告することが重要です。フィッシング詐欺や求人詐欺などオンライン上の詐欺については、警察庁サイバー犯罪対策プロジェクトの各都道府県の専用窓口に連絡しましょう。
4. セキュリティツールの導入
フィッシング詐欺師や求人詐欺師たちは個人のコンピューターに悪質なソフトを意図的にダウンロードさせるために様々な方法でけしかけてくるかもしれません。セキュリティツールの包括的なパッケージは、あなたの監視の目に留まらなかった可能性のあるウイルスやマルウェアから守ってくれます。McAfee Total Protection は、有料ウイルス対策ソフト、安全なウェブ閲覧、パソコンの最適化を提供します。